渡辺公三「闘うレヴィ=ストロース」@平凡社新書

闘うレヴィ=ストロース (平凡社新書)

闘うレヴィ=ストロース (平凡社新書)

 ピナ・バウシュマース・カニングハムと巨匠墜つの感が強かった今年のダンス界だが、外に目を向けてみると知の巨人レヴィ=ストロースの死もニュースであった。
 「構造」とは、要素と要素間の関係からなる全体であって、この関係は一連の変形過程を通じて不変の特性を保持する
 本書によればこれが1977年にレヴィ=ストロースが初来日した時の講演で語った彼自身の「構造」についての説明だという。さらにこの後、言葉を継いで構造の定義の3つの側面に注意を喚起している。これは以下の3つである。

 第一 この定義が、要素と要素間の関係とを同一の平面に置いている点。別の言い方をすると、ある観点からは形式と見えるものが、別の観点では内容としてあらわれるし、内容と見えるものもやはり形式としてあらわれうる。
 第二 「不変」の概念。これがすこぶる重要な概念。私たちが研究しているのは他の一切が変化するときになお変化せずにあるものだからだ。
 第三 「変形(変換)」の概念。これによって「構造」と「体系」の違いが理解できる。体系も要素と要素間の関係からなる全体と定義できるが、体系には変形が可能でない。体系に手が加わるとばらばらになって崩壊してしまう。これに対し構造の特性は、その均衡状態になにか変化が加わった場合に、変形されて別の体系になる。そのような体系である。

 さらにこのことに対する著者のパラフレーズはこうである。
 「構造」とは「変われば変わるほど変わらないもの」という逆説的なもの。変化することで「崩壊」へと向かう「歴史」とは対照的ななにか