束芋「断面の世代」展@国立国際美術館*3

 父の突然の逝去と葬儀があり、ほぼ1週間はそれだけで終始してしまった。残務処理はまだまだ残っているし、昔風に言えば服喪の期間ではあるのだけれども、これだけは終わる前に見ておきたいと考え束芋「断面の世代」展を見に国立国際美術館に出かけた。6種類の映像インスタレーションがあり、いずれもこれまでに見たことがない新作である。
 束芋の作品は最初自らが筆をとって描いた絵がもとで、それがパソコンに画像として取り込まれて彩色された後、CGのアニメーションとして制作される。そして、それがただ平面に映写されるというのではなくて多くの場合、それに相応しいとそれぞれ考えられた空間において映像インスタレーションとして展開される。
 最初に描かれる絵自体が北斎の浮世絵を彷彿とさせるものであったり、鳥獣戯画を思わせるものだったりして、日本風なところがあるのだが、それに加えて、今回の作品でも団地のような部屋が登場してみたりと選ばれるモチーフも日本風。そして、それが加工され表現されるアニメーションという手法自体が日本の表現様式を連想させるもので、これが海外において高い評価を受けているというのは非常にうなずけるところがある。
 私自身の個人的な好みから言えばかならずしも好きなタイプの作品とは言い難いのではあるけれど、この日の展示を見る限り、この人はやはりこの世代の現代美術作家のなかではやはりピカイチの力を持っていると思った。