九月大歌舞伎 訪欧凱旋公演通し狂言「義経千本桜 忠信篇」@京都南座

忠信篇(午前11時開演)
(3、7、10、14、17、21、24日)

序 幕 鳥居前

二幕目 道行初音旅

大 詰 川連法眼館 市川海老蔵宙乗り狐六法相勤め申し候
    猿之助四十八撰の内 蔵王



【鳥居前】
      佐藤忠信実は源九郎狐  海老蔵
           武蔵坊弁慶  権十郎
             静御前  壱太郎
            早見藤太  市 蔵
             源義経  翫 雀


【道行初音旅】
      佐藤忠信実は源九郎狐  海老蔵
             静御前  玉三郎

【川連法眼館】
       佐藤忠信/源九郎狐  海老蔵
             源義経  翫 雀
            亀井六郎  亀三郎
            駿河次郎  亀 寿
              飛鳥  竹三郎
            川連法眼  家 橘
             静御前  玉三郎

蔵王堂】
            佐藤忠信  海老蔵
             源義経  翫 雀
            亀井六郎  亀三郎
            駿河次郎  亀 寿
             静御前  壱太郎
           武蔵坊弁慶  権十郎
     横川覚範実は能登守教経  我 當

 市川海老蔵らによる歌舞伎ロンドン公演の演目「義経千本桜 忠信篇」で、京都南座の九月大歌舞伎は「義経千本桜」の昼夜遠し狂言となっているのだが、この日の昼の部は「忠信篇」として序 幕 鳥居前、二幕目 道行初音旅、大詰 「川連法眼館」 市川海老蔵宙乗り狐六法相勤め申し候 猿之助四十八撰の内「蔵王堂」の4幕を取り上げて上演した。
 特によかったのは「蔵王堂」。猿之助の演出に基づくスペクタクルな立ち回りがあるのだが、これが予想以上にアクロバチックでスリリング。名題下の役者のうちに数人まるで体操選手かと思わせるような身体能力のすごい人がいて、これがちょっと見たことのないほどの迫力なのだが、彼らの能力が生かされるのも海老蔵の身の軽さと身体能力の高さも常人のものではないからで、主役がこうだと周囲もよほど頑張らないとという相乗効果のようなものがここでは出ていた。
 それに比べると佐藤忠信に扮していた源九郎狐がその本性を現す「川連法眼館」はやや高音での狐独特のセリフ回しが不明瞭で、口跡鮮やかとはいっていないのは残念。こういう可愛くてコミカルというのはややこの人のニンにはないというか、まだもうひとつの感は否めなかった。もっともこのシーンでも天窓からの突然の登場であったり、軽やかな身のこなしの必要なケレン的な見せ場ではさすがのものがあった。 
 ほとんど海老蔵だけが目立ってる印象が強い「忠信編」ではあるが、静御前の壱太郎はややまだ線が細いものの可愛らしさがあって魅力的。一方、玉三郎はさすがの貫録を見せてくれた。ただ、この対照的な2人が代わる代わる静御前を演じることになる今回の配役はどうなのか。もちろん、幕により同じ静御前でも役に軽重があるのは分かるのだけれども、これだと役の連続性はまるでなくて到底同じ人とは思えないのだけれど。最後に翫雀源義経はやはりどう考えても無理があったのではないだろうか……。