ヤザキタケシ×森山未來「Revival」@アートシアターdB 

日程/12月4日(土)・5日(日)※両日同プログラム
A プログラム 15:00〜
下村唯(不条理の天使)/イム・ジョンミ(スペース4.5)/佐藤健大郎(ミューザー)
B プログラム 17:00〜
森山未來(不条理の天使)/西岡樹里(スペース4.5)/佐藤健大郎(ミューザー)
C プログラム 19:00〜
ヤザキタケシ(不条理の天使/スペース4.5/ミューザー)
(料金)当日2,800円(前売り2,300円)※全席自由
場所/ArtTheater dB神戸

関西コンテンポラリーダンスのパイオニア・ヤザキタケシの初期・代表作『不条理の天使』『スペース4.5』、そして2010年新作『ミューザー』を、ヤザキ本人と、キャリアやフィールドの異なる5名のダンサーがカヴァーする。
|作品コメント(ヤザキタケシ)|
『不条理の天使』(1995年初演)
1995年、この頃はまだニューヨークとヨーロッパ(エンタメとアート)との境界で試行錯誤している状態で、表現としてはかなりエンタメの部分が色濃くでている作品です。「あらゆるものを手に入れたいと望む一人の男が、欲望をかなえるたびに向かって行く場所は天国か地獄か。マイムとダンスをフュージョンした形でアルチュール・アッシュの曲にのせコミカルに演じられた作品」今とは想いの違う、その当時の死生観が込められているところを今回は自分でどう受け止めるかが課題になりそうです。
『スペース4.5(レッドトリッパー)』(1999年初演) 芸術祭典・京(委嘱作品)
1999年当時ノストラダムスの大予言に影響を受けた世代として、次世代を迎える事が出来るのかどうか?という曖昧な心情の中、自分の身辺を振り返り見つめ問うところから創作を始める。「ただでさえ限られた舞台空間の中に、もう一つ絞り込んだ場を造り淡々と踊る。これは自分に課した一つの実験の場でもあった、等身大の限られたスペースの中、雰囲気で見せるのでなく動く事に重点を置き、最後までとどまる事無く何処かに向かう作品」。その後、フランス、アメリカ、チュニジア南アフリカシンガポール、韓国など様々な国で上演。
『ミューザー(沈思者)』(2010年初演)
森羅万象全てはエネルギーを持ち、エネルギーは振動を持つ。私達の存在も生命活動と共に振動をしている。地球上の全ては振動に溢れている。音も然り。身体と音も密接に関わりあっている。・・・と云う事で今回は音にこだわり音と戯れようと思っております。自信はありませんが、とにかく楽しく音と戯れる事が出来ましたらお慰み。勿論!常識的な音は・・・ない!と・思う。
(問)NPO法人 DANCE BOX 078-646-7044

関西コンテンポラリーダンスを代表するヤザキタケシ*1が初期の代表作である「スペースX」「不条理の天使」を再振付。森山未來の参戦も話題となった。バレエなどと異なり、自分の振付作品を自分で踊るソロ作品などが多いコンテンポラリーダンスのジャンルでは時折その人自身による再演というのはあっても、作品が他のダンサーに振り移されて、レパートリー化され、世代を超えて伝達されていくという機会は少ない。
 今回はヤザキタケシの過去の代表作である「スペースX」「不条理の天使」を彼よりも若い世代にあるダンサーが踊るとともに本人もひさしぶりに再演する、さらには新作「ミューザー(沈思者)」をアローダンスコミュニケーションでの盟友である佐藤健太郎に振り付けるとともに自らも踊るというきわめて意欲的な内容で、作品数こそ3本と多くはないが、同じ作品が本人も含めて複数のダンサーに踊られることで、ダンサー・振付家ヤザキタケシの集大成的な位置づけを感じさせる公演となった。
 さらにこの公演には地元神戸の出身でもあり、阪神・淡路大震災15年 特集ドラマ「その街のこども」やドラマ「モテキ」の主演やバーコフ演出の「変身」への出演などで大活躍の若手俳優森山未來が「不条理の天使」を踊るということでも話題となり、注目された。
 「不条理の天使」はいかにもヤザキタケシらしいコミカルな持ち味のマイムダンス。当時関西の男性ダンサー勢揃いで開催されたダンス企画「GUYS」の1場面として上演された作品でその後、トリイホールのDANCEBOXなどでも再演されたが、上演されるのはそれ以来ではないかと思う。
 今回の企画では旧作をヤザキが若いダンサーと共同で再制作するというのが1つの売り物で、興味深くはあったがなかでもヤザキとカンパニーメンバーである佐藤健大郎による新作「ミューザー」、カンパニーメンバーだった松本芽紅見に振り移した実績のある「スペース4.5」はいいとして、最大の難物が「不条理の天使」であることは企画段階からすでに予想がついた。というのはこれはただ身体がよく動いて踊ればいいというようなものでがなくて、かなりの部分がヤザキの個人技とキャラに支えられた作品の色合いが強かったからだ。
 最初に見たAプロでは近畿大学出身の下村唯が踊ったが、彼なりの精いっぱいの頑張りは買いたいとは思うが、「正直言って荷が重かったか」というのが見終わっての印象だ。もっともこれは下村には正直酷な話でダンサーとしての切れ、役者としての演技力、マイムの正確な技術が本来必要な演目でもあるので、若干の期待はあった*2のだが、やはり難物は難物だった。
 元々、この「不条理の天使」という作品は上海太郎舞踏公司「ダーウィンの見た悪夢」の英国ツアーに客演することになったヤザキタケシがその影響のもとで自分になりに工夫して創作したダンスパントマイムなのだ。
 それと相前後して関西で最初のコンテンポラリーダンスカンパニーだった冬樹ダンスヴィジョンにも出演していたものの、関西のダンサーが複数参加してフランス各地をツアーして回ったことで関西にコンテンポラリーダンスが普及するきっかけとなったスーザン・バージュの「MATOMA」*3にヤザキが参加したのは上舞英国ツアーの翌年のことであるから、文字通り、関西のコンテンポラリーダンス黎明期の作品なのだ。
さてキャスティングに話を戻すとそこに登場したのが俳優の森山未來で、その演技を生で見たのは劇団★新感線ぐらいで、それでは身体の切れはいいぐらいのことしか分からなかったのだが、その後、バーコフの「変身」でグレゴールを演じているのをテレビで見たことがあって、「彼ならいけるかも」と楽しみが倍加したのだ。
 実際の演技も見事に期待にこたえるもので特に後半の椅子を持ってタンゴを踊る場面での決めの美しさとそれとはかなりギャップがある前半のマイム場面での顔の演技のデフォルメ具合などヤザキのとはまた違う魅力があり、この作品のポテンシャルの高さを観客に存分に見せることになった。惜しむらくは今年の超多忙のスケジュールをぬっての参加でもあり稽古時間が限られていたこともあってか、後半のダンス部分の身体のキレ、キメのカッコよさにはさすがのものがあったが、前半のマイム部分はグレゴールの演技などと比較して森山本来のポテンシャルからいえば最大限のものが出ていただろうかとの疑問があったことだ。つまり、再演すればかならずもっとよくなるはずなので、なんらかの形での再演を望みたいと思う。
 森山の好演に触発されたか、Cプロでのヤザキ自身による「不条理の天使」もよかった。年齢のことは言いたくはないが、48歳という年齢はダンサーとして若いとはとても言えないだろう。それだけに今回のCプロはヤザキにとってチャレンジだった。もちろん、ダンスインストラクターとしては関西一の 
 

*1:「現代日本演劇・ダンスの系譜vol.12 ダンス編・ヤザキタケシ」セミネールin東心斎橋web講義録 http://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/00000603

*2:学生時代に上海太郎舞踏公司「Rhythm」への客演経験があった

*3:ダンサーとして冬樹、ヤザキタケシ、森美香代、森裕子、スタッフとして坂本公成、小原啓渡らが参加