演劇集団キャラメルボックス「夏への扉」@サンケイホールブリーゼ

原作 ロバート・A・ハインライン
脚本・演出 成井豊+真柴あずき
出演 畑中智行 西川浩幸 坂口理恵 岡田さつき ほか
2/22〜27◎サンケイホールブリーゼ、3/5〜27◎ル テアトル銀座 by PARCO

 ロバート・A・ハインラインのSF作品を演劇集団キャラメルボックスが舞台化。一時期よく見に行っていた劇団でいつの間にか行かなくなってしまった劇団というのはいくつかあって、キャラメルボックスもそういう劇団のひとつだった。最後に劇場で見たのはいつのことだっただろうか。とにかく、こちらも昔好きだったSF小説の名作「夏への扉」を舞台化するというので、出かけてきた。
 実は最初に見たこの集団の舞台はハーフタイムシアターの2本立て「銀河旋律」と「広くてすてきな宇宙じゃないか」だった。それは今からもう十数年というか20年弱前のことだから大昔のことといってもいいのだが、その時の第一印象がこの人(作・演出の成井豊)はSFが好きなんだろうなということであった。
 なかでもその時に作風から想起した作品がタイムマシン、タイムトラベルものの古典であるロバート・シルヴァーバーグ「時間線を遡って」と今回舞台化されたロバート・A・ハインライン夏への扉」だった。実は最近、「時計じかけのオレンジ」のミュージカル版を見て、面白くはあったけれど、「なぜ今この作品をやる意味があったんだろうか」と考えてしまった。この「夏への扉」もやはり原作のSF小説自体はこの21世紀に読むとなんとも牧歌的というかいかにも古色蒼然というのは否定できないのだけれど、(現実のものとしては実現してないけれど、コールド・スリープ、タイムマシンという趣向が)もはや古くて懐かしいレトロなものであって、それがこの集団の表現形態と合致しているのではないかと思った。
 「夏への扉」といえば主人公の飼い猫ピート(護民官ペトロニウス)の存在が魅力的で、映画ならともかく演劇でこれをどういう風に処理するのだろうと思っていたのだが、まあそうだろうとは思っていたのだけれど、やはりここでは人間、しかもどちらかというと大柄な男優がこれを演じていた(笑い)。こういうのは80年代小劇場の得意技でそういえば「不思議なクリスマスのつくりかた」では西川浩幸がスヌーピーを演じていたなと思いだしたりしたが、まあそれは別の話だ。
 「夏への扉」は演劇集団キャラメルボックスの持つスタイルとのシンクロ率が高かった。ということはこの小説の舞台化としてはきわめて上出来だったということである。
 

夏への扉 (ハヤカワ文庫 SF (345))

夏への扉 (ハヤカワ文庫 SF (345))