月面クロワッサン「バイバイ、セブンワンダー」@京大吉田寮食堂

「月面クロワッサンvol.1/バイバイ、セブンワンダー」 作・演/作道雄

〜あらすじ〜

舞台はある高校。その卒業式、前日。春。 校舎にまことしやかに流れる七不思議の噂を、高校生活最後のその日に、謎解こうとする者たちと解きたくない者たちとその他もろもろと。 やがて明らかになるのは、校舎を徘徊する一人の少女の霊と、隠されていた一人の少年の死。 過去と現在が音を立てながら交錯し始め、七番目の不思議が解けたとき…。

月面クロワッサン初の単独本公演はノスタルジックな雰囲気漂う新感覚の群像劇。 彼らに、謎は解けるのか―


月面クロワッサンvol.1
「バイバイ、セブンワンダー」
―春が来るまえに、謎を解け―

作・演出/ 作道 雄
出演/ 浅田麻衣(京都ロマンポップ) 太田了輔 北川啓太(劇団愉快犯)
    北川大佑  清水航平  中島 翔  西村花織
    松本大地  横山清正(劇団立命芸術劇場)

美術/ 栗山万葉(悪巧み企画) 舞台/ 薮内隼
照明/ 木村成美 ぷっちヨ(劇団愉快犯) 音響/ 神谷千沙(劇団ケッペキ)
小道具/ 光村恵子(十中連合) 衣装/ 湖瀬マリア(悪巧み企画)
演出助手/ 大西美倭子  舞台監督/ 池山菜花(劇団愉快犯)
制作/ 西村花織 太田了輔  宣伝美術/ 森 慧祐(砂丘ユニットマルコレベル)
撮影/ 橋ヶ谷典生  ウェブ/ 中谷和代(劇団ソノノチ)
協力/ 京都ロマンポップ 劇団愉快犯


http://getsukuro.halfmoon.jp/

 京都大学在学中の学生らによる劇団の旗揚げ公演である。京大出身の劇団といえば遡れば私の同世代のそとばこまち*1をはじめ、その1、劇団衛星などもあるが最近では学生サークルとしての劇団はあるようだが、立命館大学、同社社大学そして新興勢力である京都造形芸術大学などと比べて、話題を聞かない。
 卒業して30年近くたつものの自分の母校はやはり気になるもので、劇団からちょうど招待状が送付されてきたこともあり、これまた懐かしい京大吉田寮食堂まで出かけてみた。好感を持ったのは役者がキャリアが浅いと考えられるのに意外としっかり演技をしていて、場面の演出処理などもきっちりとされていて、旗揚げ公演にしてはなかなかレベルが高いなということだ。役者では浅田麻衣は客演ながら印象的なヒロイン役、特筆すべきなのは櫻井爽太を演じた松本大地で役者としての実力は今回の舞台だけでは未知数のところがあるが、小劇場では珍しい爽やかな好青年が似合いそうなタイプなので、今後この集団の看板役者に育っていくかもしれないとの将来性を感じた。
 内容は軽快なタッチの学園もののミステリ仕立てにホラー的な趣向がからむ。学校内で起こる七不思議の噂を探るうちに過去に起こった事件の隠された真相が浮かび上がってくるという筋立てだが、正直言ってミステリとしてはあまりにプロットが単純で弱い。最初に以前この高校にいた学生(櫻井)が連続通り魔の犯人に虐殺されて見つかり、同時にクラスメートだった女生徒が失踪したということが明かされるのでこちらは勝手に舞城王太郎風のスプラッタホラーのようなものを期待してしまったのだが、そういうことは一切なくて、青春の回想劇と事件の謎解きの展開に終始するために真相があれだと拍子抜けしてしまうのだ。ただ、普通ならミステリ劇でミステリ部分にひねりがないと退屈してしまうのだが、それでも最後まで楽しく見ることができるのに加えて、ミステリの解決以外のところでそれなりのカタルシスをもって舞台を終わらせることができているのはこの舞台の不思議なところで、変なほめ方になってしまうのだがそこが作・演出(作道 雄)の才能なのかもしれない。
 三つ子の魂百までの諺ではないけれども、私自身は京大時代に京都大学推理小説研究会に所属していたこともあり、ミステリ劇は好きではあるがどうしてもその分点数が辛くなってしまう。それゆえ、今回の内容ではどうしてもその部分で減点が大きく、積極的にほめる気にならないのだが、気になるのはミステリとしての真相が明かされるまでは面白く見られたということ。この劇団の演出、俳優の質感は実は例えば森博嗣西尾維新のようなライトタッチのミステリあるいはホラーを上演するのには向いているのではないかとも思った。
 ミステリに対する執着はあまりないようなので余計なお世話といったところかもしれないが、ミステリ劇の場合はオリジナル作品ではなくて綾辻行人「Another」、法月綸太郎「密閉教室」といった京都在住の作家の作品の舞台化というのを正式に許可を得たうえでするというのはどうだろうか? 

まだ、人間座スタジオでの公演あり

【開演時間・会場の詳細】
 6月11日(土)14時/19時、京都大学吉田寮食堂
 6月12日(日)14時/19時、京都大学吉田寮食堂
 6月13日(月)19時、京都大学吉田寮食堂
 6月18日(土)14時/19時、人間座スタジオ
 6月19日(日)14時/19時、人間座スタジオ
 ※各回とも30分前開場
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 一般1200円(前売り1000円)、学生1000円(前売り800円)。
 チケット取り扱い・問い合わせgetsukuro@yahoo.co.jp(月面クロワッサン)。

 問い合わせTEL090・5726・1572(制作・西村)、TEL080・5349・4679(制作・太田)。

 

*1:辰巳琢郎生瀬勝久、上海太郎らを輩出