マレビトの会「マレビト・ライブvol.1〜3総集編 N市民 緑下家の物語」@京都芸術センター

2011年5月。京都。わたしたちの住むこの都市の上に、もうひとつの都市のすがたが浮かび上がる。その都市の名前はN市。ある日をさかいに、そのN市の住人たちがわたしたちの都市のほうへと顔を出すようなことになったのである。N市の異様な出来事がこの都市のほうへと徐々に滲み出して来たとも言える。たとえば、街角の公園で、なにかを語り合っている二人の男がいたとしたら、その二人の話に注意深く耳を傾けてみると、どうやらこのわたしたちの現実のこととは事情が違うようなのだった。つまり、その二人は、この都市にいながらにして、N市の現実を生きているのである。そのようなN市の奇妙な住人たちは、この街の様々なところでその特異な存在を現すことになるのだろう。ただし、その現れようは、まことに微妙なので見逃すこともあるかもしれない
「マレビト・ライブ」プロジェクト・メンバー:
生実慧、今野恵子、児玉絵梨奈、島崇、鈴木孝平、武田暁、中本章太、西村麻生、松田正隆森真理子、山口惠子、山口春美、和田ながら
主催:マレビトの会
共催:京都芸術センター
助成:公益財団法人セゾン文化財団、財団法人アサヒビール芸術文化財

 松田正隆のマレビトの会*1はマレビト・ライブと題して今年の5月から3回にわたって、京都市内の公園や廃校となった小学校の跡などでブログやツイッターなど最小限の告知だけに情報をとどめたゲリラ的な公演活動を実施してきた。今回はその総集編として「マレビト・ライブvol.1〜3総集編 N市民 緑下家の物語」として京都芸術センターでの公演を開催した。

2012年に新作を発表することを目指して、2011年度は上演のための継続的な習作の発表と試演会を「マレビト・ライブ」と題し行います。
「マレビト・ライブ」では、ツイッターSNS、ブログによる事前告知等を行い、毎回、劇場外のさまざまな場所を舞台に上演します。

2011年5月。京都。わたしたちの住むこの都市の上に、もうひとつの都市のすがたが浮かび上がる。
その都市の名前はN市。
ある日をさかいに、そのN市の住人たちがわたしたちの都市のほうへと顔を出すようなことになったのである。N市の異様な出来事がこの都市のほうへと徐々に滲み出して来たとも言える。
たとえば、街角の公園で、なにかを語り合っている二人の男がいたとしたら、その二人の話に注意深く耳を傾けてみると、どうやらこのわたしたちの現実のこととは事情が違うようなのだった。つまり、その二人は、この都市にいながらにして、N市の現実を生きているのである。
そのようなN市の奇妙な住人たちは、この街の様々なところでその特異な存在を現すことになるのだろう。ただし、その現れようは、まことに微妙なので見逃すこともあるかもしれない。

<スケジュール>
マレビト・ライブ vol.1
◯日時:2011年5月7日(土)15:00〜18:00
◯場所:生祥児童公園(麩屋町六角通り南西角)
*無料・予約不要、直接会場にお越しください。
*上演時間内、お好きな時間にお越しください(途中出入り自由)。混雑する場合は譲り合ってご覧ください。
*雨天の場合は、翌日5月8日(日)に延期します。その場合は、マレビトの会ブログ、ツイッターにてお知らせいたします。



◯日時
2011年6月4日(土)14:00〜18:00
◯場所
・アパートの一室/緑下稲光の家(京都市左京区内)上演時間15分 (全8回ループします)
・ミック/マリーの居酒屋(京都市左京区田中飛鳥井町44)上演時間20分(全6 回ループします)
京都造形芸術大学 青窓館5階/ビルの屋上(京都市左京区/北白川通 鞍馬口通り 南西角)上演時間10分(全8回ループします)
※無料・予約不要
※3会場で実施します。各会場ご自由にお回り下さい。


「マレビト・ライブ」プロジェクト・メンバー:
生実慧、今野恵子、児玉絵梨奈、島崇、鈴木孝平、武田暁、中本章太、西村麻生、松田正隆森真理子、山口惠子、山口春美、和田ながら
助成:公益財団法人セゾン文化財


◯日時:2011年7月9日(土)15:00〜18:00
◯会場:元・立誠小学校、および、その周辺(京都市中京区備前島町310-2/木屋町蛸薬師下ル)
阪急電車河原町駅」1番出口より徒歩3分/※京阪電車祇園四条」4番出口より徒歩5分

*無料・予約不要
*上演時間内、途中出入り自由
*元・立誠小学校の1階受付にて会場地図を配布します

「マレビト・ライブ」プロジェクト・メンバー:
生実慧、今野恵子、児玉絵梨奈、島崇、鈴木孝平、武田暁、中本章太、西村麻生、松田正隆森真理子、山口惠子、山口春美、和田ながら
助成:公益財団法人セゾン文化財

マレビト・ライブ 特別試演会
2011年夏頃 京都市内劇場で発表予定

主催・問合せ:マレビトの会/〒606-8205 京都市左京区田中上柳町21、3号室
TEL&FAX 075-708-8025
MAIL info@marebito.org
WEB http://www.marebito.org/
BLOG http://marebitonokai.blog118.fc2.com/
Twitter http://twitter.com/marebito_org
マレビト・ライブ用Twitter http://twitter.com/marebito_live

「マレビト・ライブ」プロジェクト・メンバー:
生実慧、今野恵子、児玉絵梨奈、島崇、鈴木孝平、武田暁、中本章太、西村麻生、松田正隆森真理子、山口惠子、山口春美、和田ながら
助成:公益財団法人セゾン文化財

<上演について>・・・・松田正隆
1、劇を演じることが演劇とすれば、
劇とはなにか。ということである。
劇(ドラマ)が生まれること(変容)に着目したい。それは、劇(ドラマ)という概念への問いかけでもある。「劇」自身を模索するためにはあらかじめ劇的である装置にまみれている既存の劇場を離れ、私たちのこの現実に「劇の生まれる可能性のある場所」を移行し、その劇の「立ち現れ」を注意深く観察したい。あるいは、立ち現れないこと(劇であることの失敗)をも注視すること。

2、個の物語(私の記憶)と公共の物語(集合的記憶)の対立の劇(ドラマ)を描く。その対立への応答をフィクションとしての物語で提出すること。

3、中断。この現実の持続とその現実の上に顔を出す虚構の持続に、中断をもたらすこと。

4、現代におけるインターネット上の体験と現実社会での体験(上演)との演劇的な関係のあり方を探ること。

以上がマレビト・ライブの上演の目的である。

<「ヒロシマナガサキ」シリーズから「マレビト・ライブ」へ>
松田正隆が長崎に住む自身の父親に取材し、ドキュメンタリーの手法を用いて描いた『声紋都市—父への手紙』(2009・フェスティバル/トーキョー共同製作)、戦後、平和公園(PARK)を中心に復興を遂げた広島を取材し、広島出身の若手写真家・笹岡啓子とともに舞台化した『PARK CITY』(2009・山口情報芸術センターびわ湖ホール共同製作)、そして、広島と朝鮮半島における「もうひとつのヒロシマ」と呼ばれ、いまも多くの広島での被爆者が住む町・ハプチョンに取材した『HIROSHIMA—HAPCHEON:二つの都市をめぐる展覧会』(2010・フェスティバル/トーキョー、京都国際舞台芸術祭 共同製作)。これら一連の「ヒロシマナガサキ」シリーズの最新作に向けた「マレビト・ライブ」では、「N市」を題材に松田正隆が新たに書き下ろす「都市の記憶」の架空の物語が、現実の街の中で交差します。

松田正隆はマレビトの会を設立して以来、従来の演劇では自明な物語の解体、演出、演技の実験などを手掛けてきたが、展覧会方式などと呼ばれた「HIROSHIMA—HAPCHEON:二つの都市をめぐる展覧会」(2010・フェスティバル/トーキョー、京都国際舞台芸術祭 共同製作)など近作で試みたのは「劇場という制度」「公演という制度」への問い直しであったかもしれない。
 マレビト・ライブはその延長線上にある演劇的実験と考えることができる。5月から3回にわたって行われたその公演を見ることは残念ながら記録された写真*2からそれがどういうものであったかということを想像すればそれは劇場以外の場所で上演された一種の巡回式野外劇(一部室内も)であったようだ。 
 最近はフェスティバルトーキョーなどで何度かにわたって来日公演を行い注目されたリミニ・プロトコルなどドイツのポストドラマ演劇のことなどが取りざたされているが、こういうものは日本国内でも前例がなくはないもので、そういうことをあまり知らない(と思われる)海外演劇の専門家(研究者)たちの論には常々違和感を感じるところもあった。
 なかでも重要な前例と私が考えているのは1990年代に東京を中心に野外からギャラリー、カフェなどさまざまな場所で「場所から発想する」演劇を上演してきたトリのマーク(通称)*3の挑戦であった。