月面クロワッサン「夏の目撃者」@元立誠小学校職員室

  月面クロワッサン「夏の目撃者」
 2011年、京都大学在学中の作道雄を中心に旗揚げ。ヨーロッパ企画に続き人気劇団としてブレークするのではと期待の京都の注目若手劇団の新作。重要なモチーフとしてネッシーが登場する。これは幻想ではなく、舞台そでにいるものとして物語は展開するが、舞台上で観客が実際にその姿を目にすることはない。ただ、このネッシーは3年前にこの病院に入院していた患者にも目撃され、また、同じ病気で入院して病状が悪化している患者にだけその話し声(鳴き声)が聴こえるということから、死の象徴でもあるということが舞台の進行とともに分かってくる。
 つまり湖のほとりの病院を舞台に「死」を中核に置いた作品なのだ。芝居そのものは深刻だったり悲劇的だったりする雰囲気はいっさいなく、すべてがコメディータッチの軽い筆致によって語られていく。娯楽性も高く、このままでも一定以上の支持を受けそうだが、この物語内で深くは語られないけれども深層に位置する亡くなった患者と女医の関係をもう少し深堀りするような仕掛けがあれば深みが格段に増したと思われ、それが残念だった。