lal banshees 「ペッピライカの雪がすみ」@こまばアゴラ劇場

lal banshees
『ペッピライカの雪がすみ』

2016年7月21日(木)〜7月25日(月)全6公演
会場:東京都 駒場東大前 こまばアゴラ劇場
振付・演出:横山彰乃(東京 ELECTROCK STAIRS)
芸術監督:平田オリザ
出演:
横山彰乃
北川結(モモンガ・コンプレックス)
後藤ゆう
 菅彩夏
涌田悠

 KENTARO!!が率いるダンスカンパニー「東京 ELECTROCK STAIRS」の主要メンバーである横山彰乃によるダンスカンパニーlal bansheesの旗揚げ公演。
東京 ELECTROCK STAIRSでは最近個々のメンバーの個人による個別の活動が盛んになってきているが、これもそうした公演のひとつ。
物語性は特にないが、単に音楽に合わせて群舞で踊るというようなありがちなものではなくて暗い森の中で何かよく分からない生き物たちが蠢いている、というような一種不可思議なイメージがあってこうした個性的な世界観が色濃く出ているのが面白い。
ダンスでは振り付けにダンサーが合わせていくというより、それぞれのダンサーが自分の踊り方を生かしながらそれぞれ踊る。だから、ユニゾンの動きとかをみても、きっちり揃っているというよりも動きの処理はそれぞれ違う。ただ、感心させられたのは呼吸で合わせているのかやり方は判然とはしないのだが、全体的に見れば群れとしての動きにはきちんとした調和があるということだ。
さらに言えば5人のダンサーを今回は使っているのだが、その構成が常に変幻自在に変わり続けること。日本のコンテンポラリーダンスで群舞の名手といえば横山の師匠のKENTARO!!、井手茂太黒田育世らの名前が思い浮かぶが、これほど自在にフォーメーションが変わる振り付けは見たことがない。狭い空間でありながら、上手に出入口のようなものを使って舞台に登場するダンサーの数をゼロから5人まで変化させ、その上で舞台上にいるダンサーをソロ、デュオ、トリオなど変えてみせる構成力も巧みだ。
もっともこの作品が魅力的であることとはそうした技巧上のことではないところにある。ダンサーが魅力的であり、しかもほかのところで踊るのを何度か見ている横山や北川を見ていると分かるのだが、単にそのダンサーが手癖で踊っているのではない魅力が上手くすくいとられているように見えたことだ。この作品は再構成してトヨタコリオグラフィーアワードでの最終選考会でも踊られるという。ここからどのように変化するか楽しみだ。