無隣館若手自主企画vol.16 穐山企画「青春、さよなら、母さん、フリー/最低・観察時間」@アトリエ春風舎

作・演出:穐山奈未

昔を振り替えることに、なんの意味があるのか。懐かしいと思い出すだけのあの頃のよかった瞬間。今はない瞬間。実体験をもとに『母と息子』『ひきこもり』を描いた2本立て作品。無隣館・ハイバイ作家部に所属する穐山奈未、東京での初公演。

『青春、さよなら、母さん、フリー』
母さんとの一番の思い出は、子供の頃、一緒にお風呂に入ったことだ。それを作文にした小学2年生の俺。それを見にきた授業参観の母さん。家に帰った夜。母さんが泣いていた。泣いていた母さんは、もういない。一人になった俺は、今まで何をしてきたんだろう。

『最低・観察時間』
みんなが働いてる間、私は雲を見てる。床を見てる。パジャマを着て、お昼が過ぎた。その頃が終わってアルバムを見ると私がいる写真は一枚もない。私がいた証拠はクラス一人一人の写真の顔のひとつ。今はもう、あの頃の記憶がほとんどない。

出演

『青春、さよなら、母さん、フリー』
鈴木智香子(青年団
門田寛生(三条会

『最低・観察時間』
島田曜蔵 鈴木智香子 長野海 坂倉花奈(以上、青年団
尾粼宇内 船津健太(以上、無隣館)
門田寛生(三条会
スタッフ

演出助手:門田寛生
舞台監督:島田曜蔵
舞台美術監修:濱崎賢二
照明:山岡茉友子
音響:穐山奈未
宣伝美術:げんばほのか
制作:山守凌平
総合プロデューサー:平田オリザ
技術協力:大池容子(アゴラ企画)
制作協力:木元太郎(アゴラ企画)

 無隣館穐山企画@アトリエ春風舎観劇。無隣館2期生である穐山奈未による企画公演。穐山は四国学院大学の出身でハイバイ作家部所属でもあるそうだが、自らの体験を基に作劇していくアプローチは確かに岩井秀人を彷彿とさせる。いじめ、ひきこもりなど自身の悲惨な実体験に基づきながらもおかしみがにじみ出るところが女版岩井秀人ともいえそう。今回は2本立てだが、もう少し長いものが見たい。最近の青年団周辺の公演は女優陣が魅力的だが、この舞台も鈴木智香子 長野海 坂倉花奈が好演。鈴木智香子はたくましい母役だがせつなさも垣間見せていい味。「幕が上がる」「転校生」と注目してきた坂倉花奈もキュートな持ち味を存分に発揮。大人になったアキヤマを演じた長野海もよかった。