「ダンス×アート 源流を探る ダムタイプと音楽 山中透編」セミネールin東京

「ダンス×アート 源流を探る ダムタイプと音楽 山中透編」セミネールin東京

 

 セミネールin東京「ダンス×アート 源流を探る」第1弾として「ダムタイプと音楽 山中透編」を開催します。プロジェクターによる舞台映像を見ながらダムタイプの音楽担当だった山中透氏が自らダムタイプ作品の舞台裏を語ります。2010年・2011年の2回にわたり大阪心斎橋で行い非常に好評であったレクチャーの東京版をリニューアルして開催致します。どうぞご参加ください。

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コーディネーター・中西理(演劇舞踊評論)

ゲスト・山中透

 


 エイズで亡くなった古橋悌二氏の盟友として1980~90年代にダムタイプ*1の音楽監督を務め、代表作といえる「S/N」「PH」などに楽曲を提供した山中透氏。彼をゲストに迎え、大型プロジェクターによる舞台映像を見ながらダムタイプ作品の舞台裏を語ってもらう予定です。残された映像を見るとクールでハイセンスな未来派パフォーマンスと見えたダムタイプですが、舞台裏ではショー・マスト・ゴーオンさながらのもうひとつの熱い闘いも進行したそうです。当時最先端のニューヨークのクラブカルチャーに触発されて、ライブ演奏していたのに舞台を見た人からはあまりそれが正当には評価されなかったという悩みもかかえていたそうです。今だから明かせる秘話が続々、こうご期待。山中氏からはダムタイプ退団後の仕事の紹介(オンケンセンとのコラボなど)もしていだける予定です。

 2008年から2013年まで東心斎橋のBAR&ギャラリーで開催。レクチャー(解説)と大画面のDVD映像で演劇やダンスを楽しんでもらおうという連続レクチャーがセミネールでした。2013年4月に東京に移住して以来中断していましたが、ダムタイプの音楽監督を担当していた山中透さんの協力を得て復活させることにしました。

 コンテンポラリーダンスというジャンルが一般化してから30年近い歳月がたちましたが、舞台芸術の世界に新しい風を吹かせたコンテンポラリーダンスも最近は当初の勢いを失いどこか閉塞感がただようような状況があることも確かなのです。そこで一度原点に返って、新鮮な驚きで私たちを驚かせたコンテンポラリーダンスとはいったい何なのかというのをもう一度原点に返ってじっくりと考えてみたいと思います。

 セミネールではこれまで私が講師を務めてきましたがこの新シリーズでは、私自身も生徒の1人として毎回、テーマを決めたうえでゲストを呼び話を聞いたり、レクチャーしてもらうことを通じて、「コンテンポラリーダンスとは何か」について一緒に考えていくことにしたいと思います。

【日時】2017年10月16日(月)p.m.7:30~

【場所】三鷹SCOOL にて

【料金】¥2500(予約)(※当日¥2000)

 ※[予約優先]  狭いスペースなので、出来るだけ予約をお願い致します。当日飛び込みも満席でなければ可能ですが、+500円となります。なお、満席の場合お断りすることもあります。

【予約・お問い合わせ】 ●メールsimokita123@gmail.com (中西)まで お名前 人数 お客様のE-MAIL お客様のTELをご記入のうえ、 上記アドレスまでお申し込み下さい。ツイッター(@simokitazawa)での予約も受け付けます。

●(電話での予約・問い合わせ)

090-1020-8504 中西まで。

A Midsummer Night's Dream KUNIO13「夏の夜の夢」@東池袋あうるすぽっと

A Midsummer Night's Dream KUNIO13「夏の夜の夢」@東池袋あうるすぽっと

 

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作:ウィリアム・シェイクスピア
演出・美術:杉原邦生 翻訳:桑山智成 振付:北尾亘
【出 演】
 鍛治直人[文学座]高山のえみ 大石将弘[ままごと / ナイロン100°C] 大村わたる[柿喰う客 / 青年団] 北尾 亘[Baobab] 田中美希恵[範宙遊泳] 瑞生桜子
箱田暁史[てがみ座]森田真和 後藤剛範 海老根理[ガレキの太鼓] 水野駿太朗
 三永武明・小田豊


【スタッフ】
 音楽:Taichi Master
舞台監督:大鹿展明
 照明:魚森理恵
 音響:稲住祐平
 衣裳:清川敦子[atm]
ロバの頭製作:藤谷香子[FAIFAI]
 演出助手:岩澤哲野、中村未希
 照明操作:加藤泉
 衣裳製作協力:山本理恵
スチール写真撮影:堀川高志[kutowans studio]
 宣伝美術:加藤賢策[LABORATORIES]、北岡誠吾[LABORATORIES]
 特設サイト:間屋口克
 印刷:佐々木洋紙
 制作:小林みほ、河野理絵


 協力:アプレ、イマジネイション、エスプレイング、オーストラ・マコンドー、岡村本舗、柿喰う客、ガレキの太鼓、krei、Queen-B、スイッチ総研、青年団、てがみ座、DruCi、ナイロン100℃、範宙遊泳、Baobab、文学座、ままごと、libido:
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 KUNIOは杉原邦生による演劇上演ユニット。これまでは国内外の現代演劇のテキストを上演してきたが英文学者でシェイクスピア研究者の桑山智成と組んで、新訳でのシェイクスピア上演にも挑戦。今回の「夏の夜の夢」は「ハムレット」に続く第2弾となった。
 正確な統計があるわけではないので臆測にすぎないが、本国の英国を除けば日本は多くのシェイクスピア作品が上演されている国のひとつではないだろうか。その理由のひとつに多数の翻訳テキストの存在があるかもしれない。戯曲の翻訳が専門家によってなされるとともにこうした翻訳をもとに実際の上演向けに作家が手直ししたものが使われたり、今回の公演のように上演の目的でまったく新たな翻訳を行うという例もある。そうすることのメリットは原語では現代語から見れば古語で書かれているものがそのまま上演されることになるため、時代が経過すれば経過するほどとっつきにくいものとなっているのに対し、日本では次々と日本語の現代語としてなじみやすいテキストが表れる*1
 そうした中でも「夏の夜の夢」は「ハムレット」「ロミオとジュリエット」などと並んで上演例が多く、今年に入ってからでも青年団リンクRoMTが上演したほか、「野田秀樹版 夏の夜の夢」の再演バージョンをSPACが上演している。
 過去の上演歴ではロイヤル・シェイクスピアカンパニー(RSC)のピーター・ブルック演出版が伝説的な上演として有名だが、生で見てはいない。映像化もされたRSCのエイドリアン・ノーブル演出版、竜安寺の石庭を舞台上に出現させた蜷川幸雄演出版、前述のSPACによる上演、山の手事情社の何回かの上演などは見ている。ただ、これまで見た「夏の夜の夢」の上演の中で個人的にもっとも印象的だったのは林巻子演出のロマンチカ版である。「夏の夜の夢」には無数の性的な隠喩がちりばめられていて、翻訳上演ではほとんどの場合、そうした要素は単なる比喩だとしてスルーされるが、ロマンチカの上演ではそれを出来るだけ拾ってビジュアルとしても提示していて、一見奇を衒っているようにも見えたが、上演を見た後で元テキストとの照合を行ったところ意外に正統的な演出ではないかと思わせられたからだ。

*1:坪内逍遥訳から福田恆存訳、そして、小田島雄志訳、松岡洋子訳と翻訳も時代をへて、異なったテイストのものが出てきていることで、単なる古典ではない現代に生きるテキストとして受容できるようになっている

ままごと「わたしの星」@三鷹市芸術文化センター 星のホール

ままごと「わたしの星」@三鷹市芸術文化センター 星のホール

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□ 作・演出 柴幸男
□ 高校生キャスト

<オーディションで選ばれた高校生>
池田衣穂 太田泉 須藤日奈子 関彩葉 田井文乃 土本燈子 成井憲ニ 日比楽那 札内萌花 松尾潤
□ 高校生スタッフ
《劇作・演出部門》 圓城寺すみれ 小笠原里 塚田真愛 松川小百合
《運営部門》 大鋸塔子 谷川清夏 鶴飼奈津美
□STAFF
舞台監督=佐藤恵・吉成生子
美術=青木拓也
照明=伊藤泰行
音響=星野大輔(サウンドウィーズ)

音響補佐=野中祐里
衣裳=藤谷香子(FAIFAI)
宣伝美術=セキコウ
宣伝写真=濱田英明
演出助手=奥萌
制作=岡田湖以(パウンチホイール)、本城円

制作統括=森元隆樹、森川健太(三鷹市スポーツと文化財団)、加藤仲葉(ままごと)

特別協力=急な坂スタジオ

企画制作=ままごと(一般社団法人 mamagoto)/公益財団法人 三鷹市スポーツと文化財
主催=公益財団法人 三鷹市スポーツと文化財
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 高校生キャストをオーディションで集めたままごと「わたしの星」が2014年の初演*1以来3年ぶりに再演された。初演も見てはいるが、このサイトには感想は書いていない。というのも当時「わが星」の続編的な舞台と宣伝がされていたこともあって、見た後、「わが星」とは縁もゆかりもない、この舞台をどのように受け取ればいいのかがピンとこなかったからだ。
 今回再演を見て分かったのはこの「わたしの星」という作品は「わが星」とは全く違う舞台ではあるけれどこの舞台にはこの舞台なりの上演の枠組みがあり、それが単なる演劇作品の上演以上のリアリティーをこの作品に与えているんだということが分かり、そこがいかにも柴幸男らしくて面白いと思った。
「わたしの星」は住民の火星への移住が進み学校もこの地も過疎化していく中でのスピカの転校と文化祭の発表をめぐる、高校生たちの夏休み最後の日を描き出す。作者の柴幸男自身が世界観を共有するとしているので「わが星」とは縁もゆかりもないと書いたのはいささか言い過ぎだとしても、この「わたしの星」には「わが星」よりも近親感を感じさせる作品があった。それは平田オリザ作演出の舞台「転校生」*2である。この日スピカは文化祭の発表も待たずに皆に何も言い残さず突然火星へと去ってしまうが、ちょうど同じ日に火星からの転校生ひかりがこの学校にやってくる。入ってくる、そして出て行く2人の「転校生」がいてそれが対比されるように描かれることで、生と死が象徴されるという構造を「転校生」と「わたしの星」は共通して持っている。そしてこの2つの舞台はいずれも高校生しか出てこないという点でも共通していて、「転校生」も初演以来様々な形で再演が行われたのだが、ほとんどの場合、高校生年代の出演者をオーディションにより選んで、上演されている。高校演劇部などによる独自上演を除けば「わたしの星」上演もオーディションにより集められたキャストにより上演されている。
 実はそれが「わたしの星」にとっては重要なのだ。というのはこの作品は夏休みに文化祭のために演劇を発表しようとしている高校生を描いたものなのだが、それを演じている出演者も夏休みを演劇を上演するためにオーディションで集められて、ここにいるわけだ。出会うということ、一緒に何かをやりということ、そしてやがて分かれていくということ。「わたしの星」で描かれたことは演じる彼女ら(彼ら)そのものであり、この舞台は現実と劇という虚構が二重構造になっていて、それゆえ、演技のうまさとかそういう技術的なことを超えたところで「いま・ここで」しかないリアリティーが感じられるものとなっている。さらに札内萌花が1人2役で演じたスピカ・ひかりだけは架空の名前を持つ登場人物であり、それはひとりはこの日転校していき、もうひとりはこの日転校してくるということにより、この作品にとって象徴的な人物といえるのだが、その他の登場人物はすべて演じる人の実名が役名となっている*3。これも作品の現実との二重性を与える大きな仕掛けといえるのかもしれない。
 実は今回のキャストには作者が仕掛けたというわけではないけれど、偶然であり、しかし運命ともいえるような出来事が起こっていたようだ。というのはスピカ・ひかりを今回演じた札内萌花は4年前に初演で同じ役を演じた札内茜梨の実妹だという。もちろん、札内が今回オーディションに応募したのはおそらく姉が演じた4年前の舞台を見ていて自分もその舞台に出たいと思ったからなのだろうし、偶然ではないのだけれど、実際そういう話を聞いた時に出会いの偶然性と運命を描いたこの舞台に相応しい出来事ではないかと思ったのだ。

少年王者舘「シアンガーデン」@下北沢ザ・スズナリ

作:虎馬鯨
演出:天野天街
出演

夕沈
小林夢二

岩本苑子
井村昂
篠田ヱイジ[名古屋公演のみ]
山本亜手子[名古屋・東京公演のみ]
水柊[兵庫公演のみ]
中村榮美子[東京公演のみ]
がんば(きのこともぐら)[兵庫公演のみ]

スタッフ

脚本:虎馬鯨
演出:天野天街
舞台美術: 田岡一遠
美術製作: 小森祐美加
映像: 浜嶋将裕
照明: 小木曽千倉
音響: 岩野直人[ステージオフィス]
舞台監督: 岡田 保[演劇組織KIMYO]
振付: 夕沈/池田遼
音楽: 珠水/ FUMICO
チラシ: アマノテンガイ
写真: 羽鳥直志
撮影: 山崎のりあき/田中博之
制作: 宮璃アリ/水柊/藤田晶久/篠田ヱイジ

協力:うにたもみいち/小島祐未子/望月勝美/金子達郎
サカイユウゴ/うえだしおみ/相内友美/近藤樺楊/山本かおり(賄い方)
杉浦胎兒/中村榮美子/サカエミホ
雪港/☆之/水元汽色/カシワナオミ
街乃珠衣

共催:伊丹市立演劇ホール(兵庫公演)
主催:少年王者舘

少年王者舘「シアンガーデン」@下北沢ザ・スズナリ観劇。今回は作が天野ではなく、虎馬鯨ということでやや純度は落ちるかもしれない。セリフのいわゆる「天野語」と呼ばれている独特の言い回しや詩的な表現、掛け言葉ような言葉遊び天野ならではの煌めきを感じさせるような風味は薄かったかもしれない。ただ、幾重にも重なった「夢の中の夢」の入れ子的多重構造やアパートの3つの部屋が融通無碍につながって作られた不条理かつ不可思議な世界はやはり濃厚な天野天街ワールドで、そこは充分に堪能することができた。
2010年2月に上演された「夢+夜」のレビューで*1、その10年前の2000年に「下北沢通信雑記的日記帳」に書かれた「自由ノ人形」の感想を引用した。その部分には以下のようにあった。

 「大阪日記」の2000年9月にある「日記風雑記帳」にある少年王者舘「自由ノ人形」の感想の再録であるがここで注目してほしいのは「天野天街の芝居はほとんどの場合、死者の目から過去を回想し、死んでしまったことでこの世では実現しなかった未来を幻視するという構造となっている」という部分で、ここでは死者の視点からの実現しなかった未来の幻視となっているが、実はこの未来というのは「過去」「現在」「未来」が混然一体となった無時間的なアマルガム(混合物)ともみなすことができる。つまり、村上春樹の「世界の終りとハードボイルドワンダーランド」に擬えるならばここで天野が描き出すのは「世界の終り」であり、そこには時間がないゆえにそこでの時間は伸縮自在でもあって、ループのように繰り返されながららせん状にずれていく平行世界のような存在でもある。そして、「幻視」される世界のなかで不可視なのはその中心にある「死」であり、天野ワールドではそれは明示させることはほとんどないが、まるで空気のように「死」に対する隠喩がその作品世界全体を覆いつくしている。

 この「シアンガーデン」は天野脚本ではないために少しその設定があいまいなところもあるが、それでも基本的な構造は同じである。ここに出てくる3つの部屋は「死者の世界」であり、ロボットは実現しなかった死者の夢の象徴のようなものかもしれない。また、この世界では死=眠りでもあり、死は眠りであるからこそ、そこは自分が望んだことが自由に実現する世界でもある。だから、夕沈演じる少女の部屋には実際にはいなかったお姉さんが一緒に住むために帰ってくるし、隣りの部屋には父親と兄妹が住んでいて、兄妹とかくれんぼや鬼ごっこで遊ぶこともできた。  

 

佐藤亜紀著『スウィングしなけりゃ意味がない』を聴く試み@三鷹SCOOL

出演
佐藤亜紀大谷能生
日程
8月19日(土)19:00スタート
料金
予約2,000円 当日2,500円(+1ドリンクオーダー)
8.19 SAT 19:00
オープンはスタートの30分前になります。
CLOSE
2017年3月の発売以来、圧倒的と言っていい絶賛を集めている佐藤亜紀の最新長編小説『スウィングしなけりゃ意味がない』(KADOKAWA)について、作者の佐藤さんをお迎えしてトークショーを行ないます。聞き手を務めるのは、批評と実践の両輪でジャズの歴史と現在を照らし出す異才、大谷能生氏。作中に登場するジャズの音源を実際に聴きながら、この途轍もない傑作小説の秘密に迫ります。

スウィングしなけりゃ意味がない

スウィングしなけりゃ意味がない

 佐藤亜紀の小説「スウィングしなけりゃ意味がない」についてのトークショーという触れ込みだが、実質的に大谷能生氏のジャズ講義。だが、それが刺激的でまだ小説を読んでいなかった私にもすごく刺激的で面白いものだった*1大谷能生氏と言えばミュージシャンであり、特に最近は様々なパフォーマンスに音楽を提供するのみならず、出演もしており、その作品をいくつも実際に見ているが、最初にその名前を目にしたのは菊池成孔氏と共同で行ったジャズについてのレクチャーを本にした「東京大学アルバート・アイラー : 東大ジャズ講義録・歴史編」。今回は実際に曲を聞かせたり、映像を見せたりしながら「スウィングしなけりゃ意味がない」に出てくるジャズなどの楽曲を解説することで戦前から戦後へのジャズの変遷の歴史を概観する内容で、主としてモダンジャズ以降にページを割いている「東京大学の〜」からいえばいわば前史的な時代のことになるが、いわば番外編的な内容できわめて興味深いものだった。

 バージョン違いではあるが、以下はレクチャーで紹介された音源の一部
Hitler Jugent Lied

Caravan Duke Ellington

Alabama Song Loota Lenya

Benny Goodman

 

*1:小説も読みたくなったのでさっそく購入して読んでみたいと思う

FUKAIPRODUCE羽衣「瞬間光年」@こまばアゴラ劇場

プロデュース:深井順子 作・演出・音楽:糸井幸之介

出演

深井順子 日郄啓介 キムユス 岡本陽介 浅川千絵(以上、FUKAIPRODUCE 羽衣)
幸田尚子 石川朝日 飯田一期

この劇団を推してる人は大勢いるから、私がどうこう言うことではないのだけれど、どうもこの劇団とは相性がよくないのではないかと思った。笑わせることだけが主目的の芝居ではないので本質的なことではないのだけれどまず第一に客席の何人かが大笑いしているところで全然笑えない。どこがおかしいのかまったく分からない。そういうことが続くと寒々とした気分になってきてしまうのだ。そんななかで美人なのにやってることがメチャクチャで何もかも台無しな幸田尚子だけは本当におかしいのだが、どう考えても、これは彼女の個人技じゃないかと思ってしまった。
全体の構造からすれば最後のところが主題的に見せたいところで、宇宙の死(ブラックホール的なものに全てのみ込まれていく)と再生(ビッグバン)のようなもので、それまでに繰り返される7つのエピソードはいずれも生と死を象徴しているというようなイメージだろうか。ただ、この前半部分にループ構造が多用されているせいで、私にはそれが延々と長いものに感じられて生理的に耐え難いものがあったのも確かなのだ。
構造的には少年王者舘に近いのかもしれない。ただ、私にとっては陶酔させて異世界に連れさってしまうような魔力が王者舘にはあるのだが、ここにはないのだった。

映画「銀魂」@新宿ピカデリー

 この夏見ようと思っていた映画「銀魂」。遅ればせながらやっと見ることができた。もともと早見あかりが出ているというのが見にいくための大きな動機であり、原作の漫画もアニメも「少し見たことがある程度」という一見さんなので、ファンの人が見たらどうなのかは分からないが、この映画を見ての感想はどの程度物語が原作に忠実なのかはよく分からないが、この展開だとどう考えても続きがあるはず*1なので漫画でもアニメでもいいから続きが見たい、ということだった。
 基本的にコメディ仕立てなのだが、殺陣は格好いいし、なにより、けっこう凝っているがゆえに実はそれほど分かりやすいというわけではない原作の設定をかなり分かりやすく説明しており、よく出来てるのじゃないかと思った。
 早見あかりは見せ場もちゃんとあり、予想した以上にいい役だった。監督に気に入られて福田組に入れてもらえたようで、嬉しい。現在、ヒロイン役を演じている「デッドストック〜未知への挑戦〜」や「ウレロ」シリーズとも同等のテレビ東京ドラマ枠だから「勇者ヨシヒコ」シリーズにもぜひ準レギュラーで出てもらいたいなあ。「アオイホノオ」の続編がもしあるならそれでもいいよ。

アオイホノオとは編集

監督 福田雄一
原作 空知英秋
脚本 福田雄一
音楽 瀬川英史
主題歌 UVERworld
キャスト
小栗旬 坂田銀時
菅田将暉 志村新八
橋本環奈 神楽
柳楽優弥 土方十四郎
新井浩文 岡田似蔵
吉沢亮 沖田総悟
早見あかり 村田鉄子
ムロツヨシ 平賀源外
長澤まさみ 志村妙
岡田将生 桂小太郎
佐藤二朗 武市変平太
菜々緒 来島また子
安田顕  村田鉄矢
中村勘九郎 近藤勲
堂本剛 高杉晋助
山寺宏一 吉田松陽(声)
山田孝之 エリザベス(声)

*1:というか物語の本当に最初の方で終わっていそう